アクリル板の特徴や種類を紹介！

軽くて耐久性があり、経年劣化しにくいアクリル板は、身近な場所でも様々な形で使用されています。
透明度が高く表面に光沢性もあり、何かを飾るのにも適しているため、ディスプレイや、フィギュアなどのコレクションケースの素材としても人気です。そんなアクリル板の特徴や種類、加工方法から、どのような場所で使われているのかまで、詳しくご紹介しましょう。

アクリル板の特徴とは？

アクリル板は、アクリルという合成樹脂で作られた板です。プラスチックの、軽く・錆びない・腐らない、という特性に加えて、高い透明性や美しい表面の光沢、気候の変化にも強い耐久性の高さ、加工のしやすさなど、多くの優れた特徴を持っています。

#高い透明性

アクリル板は、光線透過率93%と、汎用樹脂の中では最も高い透明性を誇ります。一般的に透明な素材が必要とされる場所で使用されるガラスの光線透過率が92%というと、アクリルの透明度の高さが感じられるのではないでしょうか。薄型から厚型まで、板の厚みも種類が豊富で、アクリル板同士を貼り合わせて使用することも可能です。水族館の大型水槽などの強い水圧がかかる場所では、圧力に耐えられるほど分厚くしても十分な透明度が得られることから、多くの施設でアクリル板が使用されています。

#強度と優れた耐久性

衝撃に耐える強さは、ガラスを1とすると、アクリル板が10～16倍と、大変割れにくい素材です。万一破損した場合にも、割れた破片が飛び散らない素材のため、安全に使用できます。表面の硬さはアルミニウムと同じくらいです。
高電圧に耐えることができ、電気の絶縁材料としても広く使用されています。太陽光や雨、風、雪などの環境下でも、錆び・色あせ・劣化がしにくく、看板や建築材料、自動車のランプレンズなど屋外利用にも向いている素材です。
プラスチックの中でも透明性や強度が低下しにくく、使用条件によって異なりますが、10～20年程度の耐久性があります。着色アクリルの場合には一部退色することがありますが、透明アクリルの場合、変色や経年変化はほとんどないと言っていいでしょう。

#加工の自由度が高く、扱いやすい

簡単な工具や装置で、カット、穴あけ、曲げなどの加工ができる、扱いやすい素材です。接着剤による貼り合わせ、熱による成形や再生利用、着色、彫刻、印刷も可能で、加工の自由度が高いのも良い点でしょう。
切り方が簡単で初めてでも失敗しにくく、面取りや仕上げ加工も容易です。使用中に傷がついた場合は、浅い傷であればアクリル研磨剤で目立たない程度まで消すことができます。
紫外線カットや反射防止機能のついたコーティング加工により、収納するものの色あせ・劣化を防ぐことも可能です。ガラスよりも軽く、積み重ねて展示できるため、大切なコレクションを飾るフィギュアケースにも最適といえるでしょう。

#耐熱温度

耐熱温度はマイナス40℃からプラス80℃、熱湯をこぼした程度ではほとんど変化しません。着火温度は400℃で、燃えやすさは木材と同じくらいです。引火性はありませんが、高温になると変形する性質があるため、火気には近づけないほうがよいでしょう。

アクリル板の加工方法

アクリル板を使って、自分でフィギュア用のアクリルケースなどを作ることはできるのでしょうか。ここでは、自宅でアクリル板を加工する方法についてご紹介します。アクリル板の厚みは2mm～5mmまでの板が一般的で、切断、曲げ、断面仕上げ、接着加工などが可能です。

#切断加工

アクリル板をカットする際には、アクリルカッター、またはプラスチックカッターと呼ばれるカッターを使いましょう。ホームセンターでも数百円程度から、お店によっては百均などでも取り扱いがあり、厚さ5mm程度までの厚みのアクリル板をカットできます。普通のカッターでは断面がガタガタになってしまいますし、刃も傷めやすいため、おすすめできません。アクリルカッターは刃の先端がかぎ型をしていて、アクリル板に溝を掘るのに向いた形になっているため、綺麗な切り口を作ることができるのです。

定規は、金属製のものや、滑り止めのついたカッター定規があれば便利ですし、その他テーブルを傷つけないためのカッターマットや下敷きがあるとよいでしょう。
アクリル板は切断面が尖っているため、作業中に手を傷つけないよう、軍手などで保護することをおすすめします。カッターマットの上にアクリル板を置き、定規に対して直角にカッターの刃を当てます。切断するというよりは溝を掘るつもりで、力を入れすぎず、何度かに分けて、アクリル板の厚みの半分くらいの深さまで切り込みを入れましょう。このとき、板の両端5mmくらいを残して切り込みを入れると、作業がしやすいです。

最後に両端の残ったところにも切り込みを入れたら、あとは板チョコを割るように折りたたむだけで、きれいにパキンと割れます。折りたたみにくいときは、切り込みを上にしてテーブルの端にカットする線を合わせ、テーブルから出た部分に上から力をかけて折るとよいでしょう。

#面取り・磨き・仕上げ加工

アクリル板は、カットしただけでは切断面が尖っていてケガをしやすいことや、接着しにくいことから、切断面をなめらかに整える必要があります。切り口の鋭利な角を面取りするには、アクリルカッターの背の部分、かぎ型になっている刃先とは反対側を使います。カッターの背の部分を、アクリル板に対して45度に当て、軽くこするように作業しましょう。
鰹節のような削りかすが出てくれば、きちんと削れているという証拠です。そのほか、ホームセンターなどで販売されているスクレーパーという道具の側面を使っても、綺麗に面取りできます。

切断面を整えるために金属用のやすりを使用する場合には、強い力をかけてこすらずに、繰り返しゆっくり行いましょう。時間はかかっても、きれいに仕上げることが可能です。紙やすり（サンドペーパー）を使用する場合は、粗さが違うやすりをいくつか揃えて、徐々に目の細かいものに変えていくときれいに仕上がります。
おすすめは、最初に400番から使い始めて、1200番まで細かくしていくことです。仕上げにアクリル板全体を磨くと、表面に光沢が出てきれいに見えます。磨く前にアクリル板についている汚れを拭き取っておき、柔らかい布にプラスチック用研磨剤を付けて磨きましょう。

#曲げ加工

ご自宅でアクリル板を曲げる加工をするためには、オーブントースターを利用するとよいでしょう。必要なサイズに仕上げた板をオーブントースターに入れて温めますが、台の上にアルミ板やアルミホイルを敷いてから載せると、台の跡がつきません。温めすぎないよう十分注意し、火傷しないよう、軍手などを使用しましょう。板が柔らかくなったら取り出し、型などに当てて素早く形を整えて、冷めるまで待ちます。

ヒーターキットという専門の道具を使用しても、きれいに曲げられます。ヒーターの中央の金属部分が170～200℃程度まで熱くなる道具で、アクリル板を載せて加熱できるのです。加熱しながら、軽く押したり引いたりして曲がり具合を確認し、柔らかくなったところで、素早く曲げて形を整えます。最初に必要な角度よりも少し多めに曲げて、少しずつ角度を戻しながら調節するのがポイントです。
曲げたアクリル板を冷ますときには、水などを掛けて急激に冷やしたりせず、自然に冷めるまで待ちましょう。

#接着加工

アクリル板は、接着剤を使用して接着することができます。事前に、接着する部分の汚れをきれいに拭き取っておきましょう。次に、アクリルの板と板をセロハンテープで仮止め固定しますが、テープをピンと張るように引っ張りながら貼るのがポイントです。
板を固定したら、注入器を使用して、内側から接着剤を流し込みます。はみ出した接着剤は、そのまま乾くと白く残ってしまうため、すぐに拭き取りましょう。数分待てば接着剤が乾きますが、積み重ねて使用するなど荷重がかかる使い方をする場合は、完全に接着されるまで約1日間放置します。最後にセロハンテープをはがして、接着加工は完了です。

様々な用途で使用されるアクリル板

アクリル板は、透明性の高さや劣化しにくい耐久性など、優れた性能を持っていることから、様々な用途で使用されています。
例えば、水槽なら家庭用のものから水族館の大型水槽まで、そのほか、店舗ディスプレイや照明器具、屋内ドアや建築素材などです。圧力耐性が高いため、航空機のコックピットや船の窓などにも使用されています。
身近な場所では、テーブル板やフォトフレーム、収納ケースなどが挙げられるでしょう。ディスプレイスタンドや仕切りスタンド、アクリルフィギュア、フィギュアケースの素材もアクリル板です。
加工がしやすい素材のため、ケースも様々なサイズやタイプが選べます。